古事記、日本書紀がしるす天孫降臨の伝説の地として名高い高千穂峰は、鹿児島と宮崎の県境にある火山です。
高千穂峰の一帯には、火山や火口に由来する湖が二十ほど集まっており、霧島火山群ともいいます。火山列島日本でも、最大クラスの火山集積地です。
いちばん有名なのは鹿児島県霧島市の高千穂河原からのコースですが、他県からの観光客がそこまで行くのはやや手間がかかります。
JR鹿児島中央駅、鹿児島空港からの直行便はないので、高千穂河原ビジターセンターや霧島市の観光協会に問い合わせることをお勧めします。
高千穂峰は、霧島神宮の神域でもあります。まずは、神社に参拝。
でも、神社からはけっこう離れています。
本数の少ないバスかタクシー、歩くと数時間?
登山道の登り口に、霧島神宮の祭祀場があります。もとは、このあたりに鎮座していた神社が火山の火で焼かれ、移転したそうです。
火山鎮撫の歴史をしのばせます。
高千穂峰は一万年ほどまえの噴火によって出現した火山なので、縄文時代に誕生した比較的若い火山です。
その火山は縄文時代のなかごろ、活動を停止したのですが、当初の火口とは別の場所が火口となって噴火を再開しました。
古い火口の火山を「古高千穂」といって区別していますが、その古高千穂を覆うように、溶岩、火砕流、火山灰が積み重なって、現在の高千穂峰の山容が形成されました。
その新しい高千穂峰も、縄文時代の後半期には活動をやめています。
このように、高千穂峰は縄文時代の歴史のなかで形成された火山なのです。
事前に登山口にあるビジターセンターに電話して、「所要時間は一時間半から二時間くらいで中級レベル」と聞いていたので、甘くみていたのですが、斜面は四五度よりも急であるように感じる箇所(あくまでも印象です)に突入してしまい、その間、写真撮影を断念。
噴火に由来する小石と砂と火山灰の斜面なので滑りやすいことこの上なく、十歩進んでも三歩分くらいズルズルと後退してしまうのです。
アリ地獄状態です。
ほとんどの人が登山靴に登山用のステッキを持っていました。私はスニーカーだったからです。
あたりまえなのでしょうが、登山靴は必須です。
大正時代まで噴火していた御鉢火口(写真右側の斜面)を半周するようなかたちで、高千穂峰の頂上(写真上部)を目指します。
植物、虫の気配さえほとんどない荒涼たる風景がつづきます。
下の写真は、御鉢火口の内部です。
高千穂峰は正真正銘の火山ですが、頂上はこのようになっており、どこにも火口はありません。
溶岩が火口をふさいで、まるい丘のようになっているからです。
いわゆる「溶岩ドーム」です。
高千穂峰の頂上の溶岩ドームには、銅剣が突き刺されています。
「天の逆矛」の名で知られています。
誰が、いつ、何の目的で、こうしたのかまったくわからない謎の剣です。
頂上からの風景は、360度の雲の海。
高千穂峰山頂からみる韓国岳。