『火山と日本の神話──亡命ロシア人ワノフスキーの古事記論』
大分合同新聞2016年2月7日読書面掲載記事
「古事記神話のいちばん深い所にあるのは火山の記憶で、日本神話の源流は火山の王国・九州で生まれたと主張する本が戦後まもなく出版されている。著者ワノフスキーはロシアの革命家だったが、日本に亡命し、早稲田大学の教師だった。本書は従来、ほとんど知られていなかったワノフスキーの古事記研究の全貌を明らかにするとともに、神道研究、地質学、歴史学の大学教授三人がユニークな研究の背景を解説している。昨今、火山というと災害の側面ばかりが注目されているが、ワノフスキーは神秘的な景観や温泉を出現させ、土壌を豊かにする「火山の恵み」についても述べており、温泉や火山と身近に暮らす大分県民にとって興味深い言葉に満ちている。(桃山堂)」