先鋭的書評新聞『図書新聞』にふさわしく、ロシア革命家としてのワノフスキーに着目した書評を掲載していただいきました。そのうえで、ユーラシアの精神文化のなかで、ワノフスキーの火山神話論を解読するという、非常に構えの大きな書評となっています。評者は評論家の久保隆氏です。

 

「流刑されたシベリアから日本列島というものを俯瞰する時、ユーラシアからアジアへと連なる観念の地勢図が胚胎したからこそ、列島の国生み神話に喚起され、生命なるものを鼓舞していくような火山のイメージに魅せられていったと、わたしには思われてならない」

 

もうひとつ、『図書新聞』らしい論評だとおもったのは、亡命者ワノフスキーの友人だった嶋野三郎について言及されていることです。

 

「晩年のワノフスキーと最も親交を持っていたのが、北一輝と交流していたために、二・二六事件に連座して逮捕された経験をした嶋野三郎だったということも、わたしには興味深いものがある。超国家主義者・北一輝と『国家と革命』を著したレーニンの間隙に、ワノフスキーの『古事記』論があると思えば、もうひとつの感慨が沸き上がってくることを、わたしは抑えることができない」